プロフィットファクターの目安:いくつあれば良いのか、取引数とセットで見る
プロフィットファクター(PF)は、総利益を総損失で割った値で、1を超えれば期間全体ではプラスです。ただし「いくつあれば十分」という決まった基準はありません。同じPFでも、取引数が少ないほど、またコストに弱いほど当てになりません。PFは取引数・コスト・相場とセットで読みます。
定義と計算
PF = 総利益 ÷ 総損失(絶対値)
= 勝率 × 平均利益 ÷ ((1 − 勝率) × 平均損失)
2行目の形にすると、PFが勝率と損益比(平均利益 ÷ 平均損失)の組み合わせで決まることが分かります。勝率30%でも損益比が大きければ1を超え、勝率70%でも損益比が小さければ1を割ります。
例として、合成データのEURUSD M15で動かしたブレイクアウトEAのサンプルでは、136件中46勝で勝率33.8%、平均利益29.3、平均損失25.7でした。
PF = 0.338 × 29.3 ÷ (0.662 × 25.7) ≒ 0.58
損益比は1.14あるものの、勝率が低いため、PFは1を大きく割っています。
よく言われる目安
EAの検証では「1.3以上なら検討に値する」「2を超えたら過剰最適化を疑う」といった目安がよく使われます。これらは経験則で、根拠のある基準ではありません。目安より大事なのは、そのPFがどれだけぶれるかです。以下の3点で確かめます。
1. 取引数:少ないとPFは大きくぶれる
PFは、数件の大きな勝ちや負けで大きく変わります。取引数が少ないと、たまたま大きな勝ちが含まれただけで、良いPFが出ることがあります。
ぶれの大きさは、取引を復元抽出で選び直してPFを計算し直すと分かります(ブートストラップ)。上のサンプルで2,000回選び直したときの、PFの5〜95%の範囲は次のとおりです。
| 使った取引 | PF | 選び直したときのPFの範囲 |
|---|---|---|
| 最初の30件 | 0.76 | 0.41〜1.49 |
| 全136件 | 0.58 | 0.41〜0.80 |
30件だけでは、同じEAでもPFが1.49と出る可能性があります。136件そろうと、範囲の上限でも1を下回り、「負けているEA」とはっきり言えます。PFを見るときは、取引数と、この範囲を一緒に確かめてください。
2. コスト:スプレッドが少し広がるだけで下がる
1取引あたりの平均損益が小さい戦略は、スプレッドや手数料が少し増えるだけでPFが下がります。サンプルに、1取引あたりのコストを足していくと次のようになりました。
| 追加コスト(1取引あたり) | PF |
|---|---|
| 0 pips | 0.58 |
| 1 pips | 0.54 |
| 2 pips | 0.50 |
| 3 pips | 0.47 |
PFが1をわずかに超える程度のEAなら、1〜2pipsの差でマイナスに転じます。バックテストのスプレッドが、実際に使う口座より狭くないかを確かめてください。約定とコストの前提は約定の前提の解説で扱っています。
3. 相場:全体のPFは、相場ごとのPFの混ぜ合わせ
期間全体のPFは、得意な相場と苦手な相場の成績を混ぜた値です。サンプルを、エントリー直前の相場(1時間足のADXで判定)で分けると次のとおりです。
| 相場 | 取引数 | PF | 損益 |
|---|---|---|---|
| 上昇トレンド | 29 | 0.93 | −30 |
| 下降トレンド | 11 | 0.25 | −173 |
| レンジ | 93 | 0.57 | −685 |
(3件は、判定に必要な足が足りず相場を分類できませんでした。)
損失の大半はレンジで入った93件から出ています。検証期間にレンジが多ければPFは下がり、トレンドが多ければ上がります。別の期間でPFが変わったときは、相場の比率が変わっていないかを先に確かめてください。考え方は相場環境別の解説にまとめています。
最適化で選んだPFは割り引いて見る
パラメータを総当たりして一番PFの高い組み合わせを選ぶと、そのPFは偶然の当たりを含みます。試した組み合わせが多いほど、選んだPFは実力より高く出ます。周りのパラメータでもPFが崩れないかを確かめる方法は、過剰最適化を避ける方法で扱っています。
PFが低いとき、次に見るもの
PFは、EAのどこを直すべきかまでは教えてくれません。負けトレードを「一度は含み益があった負け(出口の問題)」と「入ってすぐ逆行した負け(入口の問題)」に分けると、直す場所が見えてきます。MFE・MAEの解説で考え方を、MT5レポートの見方で具体例を紹介しています。
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よくある質問
PFと勝率は、どちらが大事ですか?
どちらか一方では判断できません。PFは勝率と損益比の両方で決まります。勝率が高くても損益比が小さければPFは1を割ります。
PFは何件くらいの取引があれば信用できますか?
決まった件数はありません。取引を選び直してPFの範囲を出し、その範囲の下限でも1を超えるかを確かめるのが確実です。
負けトレードが1件もないと、PFはどうなりますか?
総損失が0になるため、PFは計算できません。取引数が少ないか、損切りを置かずに含み損を抱えている可能性があります。